2012年12月27日木曜日

Qt商用ライセンスの制限事項

Qt商用ライセンスユーザーの隠者です。

本日は、ツイッターでいただいた情報で初めて知った商用ライセンスの制限事項について、まとめて起きたいと思います。


Qtのライセンスについては、以前まとめた通りですが、そのうちのCommercial Licenseに重要な制限がかかっている事がわかりました。

発端は以下のツイートからでした。


  消費者向けの携帯電話、通信機器タブレット製品開発への適用を条項5.3で禁じています。NokiaはDigiaとは独立にこの制約を履行する権利を有しています。商用ダウンロードページにはこのことだけが抜き出して書かれています。


そこで、商用ダウンロードのページにアクセスして確認すると以下のような表記がありました。
隠者の翻訳は「にゅあんすで~」なので、各自必要に応じて真面目に英語を読み直してください。

License update associated with Digia’s acquisition of all Qt rights: 
Associated with Digia’s acquisition of all rights related to Qt from Nokia, Digia have been able to make the license regulations around use of Qt in consumer and end user devices more straightforward:

Digia社のすべてのQtの権利の買収に伴うライセンス更新: 
Nokia社からのDigia社によるQtに関連したすべてのライセンスの買収に伴い、Digia社は、QtのコンシューマやエンドユーザーデバイスにおけるQtの使用関連のライセンス規則をより簡潔にすることができました。

- Use of Qt to develop mobile phones or tablet computers targeted for consumer end users is prohibited 
- 携帯電話や、コンシューマやエンドユーザー向けのタブレッド型コンピュータの開発に(商用版の)Qtを使用することは禁じられています。

- This restriction does not prohibit licensees from creating applications for any devices, including mobile phones and tablet computers
- この制限は、携帯電話やタブレットを含むあらゆる端末に対するアプリケーションの作成を禁止するものではありません。

- Nokia is named as a third party beneficiary for this restriction. Hence, Nokia has the same rights as Digia under the Qt license with respect to the restriction, and Nokia can exercise those rights independently from Digia.
- Nokia社はこの制限の第三者受益者として指名されています。このため、Nokia社はこの制限についてQtライセンスの下、Digia社と同等の権利を有しており、Nokia社はDigia社から独立に、これらの権利を行使する事ができます

Please refer to section 5.3 in the Qt license agreements : http://www.digia.com/Qt/License-Agreements/
Qtライセンス許諾書の5.3項を参照してください。

By clicking the links below you accept the above terms.
以下のリンク(商用版のダウンロード)をクリックしたら、あなたは上記を受託したこととなります。

言い訳がましく、アプリケーションの作成は妨げないと書いてありますけど、商用ライセンスのライブラリを別途インストールしてまで使うなんて、まったく持ってアホな話です。

そういうのは、Qtどっぷりの変態さんたち(ほめてます)のすることで、こんなことやってたら一般の人はQtなんて面倒なライブラリだと思うだけでしょうね。嘆かわしいです。

ともあれ、気を取り直して、該当するライセンス許諾書の該当項目をみると以下の項目が追加されていました。

5.3 Further Requirements

It is expressly acknowledged and understood by Licensee, that Licensee is strictly prohibited from using
Licensed Software for creation of mobile phones or tablet computers targeted for consumer end users.

The aforementioned shall not prohibit Licensee from using Licensed Software for the purpose of creating of applications for any devices, including mobile phone and tablet computers.

Notwithstanding anything contrary to this Agreement, it is expressly acknowledged and understood by
Licensee, that Nokia shall hereby be named as a third party beneficiary under this Agreement with respect to this Section 5.3. Therefore, Nokia shall have the same rights as Digia under this Agreement with respect to this Section 5.3, and shall be entitled to exercise such rights independent from Digia.

The licenses granted in this Section 5 by Digia to Licensee and Licensee Affiliates are subject to Licensee and Licensee Affiliate's compliance with Section 8 of this Agreement.

汚い・・・汚いです。真っ黒くろすけも驚きの黒さです。とか、心の中で思っても、口にしてはいけません。いわゆる、大人の事情というやつなのでしょう。

まぁ、正直なところ、Digia社さんには、販売対象に制限がかかってしまうだけで、メリットの無さそうな条項ですから、買収時にごねられたと見るべきでしょうか。

狙いとしては、携帯電話やタブレット開発用のフレームワークに使う場合はLGPLに制限させたうえで、将来返り咲いたときはその利益を享受したいという気持ち満々な感じですね。いやらしいですね。気持ちはわからなくはないですが、私は、こんな大人には成らないと硬く決意しました*

以前@bluepickyさんがちらりとつぶやいたときに見たDesktop版の許諾書(3.9.1)にはこんな項目なかったんですけどねぇ。確かに、Embedded版にはあったのですけど。


5.3 Further Requirements

The licenses granted in this Section 5 by Digia to Licensee are subject to Licensee's compliance with Section 8 of this Agreement.

ま、ぶっちゃけ、商用ライセンスで携帯電話やタブレット開発する予定は無いのでどうでも良いことだったのですが、Qtを人に勧めて歩く以上、こういう罠ははっきりさせておく必要があるかと思って書いておきました。


*すでに汚いおっさんだろうとか言う突っ込みはなしの方向でお願いします。

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